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新英語教育研究会神奈川支部HP

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2016 近江 誠さん スピーチ

■神奈川新英語教育研究会 春の一日研修会 報告
今年度の研修会では、『感動する英語!』『挑戦する英語!』の著者である近江誠先生に名古屋からお越しいただき、オーラル・インタープリテーションに関するご講演とワークショップをお願いしました。
● 日時 5月8日(日)10:00~17:00    
● 会場 横浜市技能文化会館 大研修室802(京浜東北線関内駅南口下車徒歩5分)

●14:10~16:40 講演
★「近江メソッドを体験しよう!」近江 誠さん(南山短期大学名誉教授)
 豊かなる出力には豊かなる入力が先行する。オーラル・インタープリテーションとモード転換訓練がいかに現場の悩みを解消するかワークショップ形式で展開。
※近江 誠さん紹介:1941年静岡生まれ。63年南山大学文学部英語学英文学科卒業後、愛知県立時習館高校英語教諭。67年フルブライト奨学生に合格、渡米、70年までボール州立大学、インディアナ大学大学院で「演劇・スピーチ学」を学ぶ。帰国後、非常勤講師、助教授を経て84年より南山短期大学教授。日本コミュニケーション学会会長。名スピーチや名セリフを解釈し、その人の気持ちになりきって朗読をさせるという独自のメソッドは、南山短期大学の学生のTOEFLの点数をわずか2年間で飛躍的に向上させるなど英語の総合力をつけさせることで有名。教え子は、その英語力でオックスフォード大学等各方面にはばたいていっている。 著書に『英語コミュニケーションの理論と実際』(研究社、97年度大学英語教育学会実践賞)など。 

●講演:「近江メソッドを体験しよう!」
       近江 誠さん(南山短期大学名誉教授)
1. はじめに
・概要:豊かなる出力には豊かなる入力が先行する。オーラル・インタープリテーションとモード転換訓練がいかに現場の悩みを解消するかワークショップ形式で展開。
・司会から近江先生の紹介:『感動する英語』『挑戦する英語』(文藝春秋)『間違いだらけの英語学習』(小学館)、教科書オーラル・コミュニケーションC Hello,There(東京書籍)の著者

2. 講演
・授業の最初に英語でプレゼンしていくわけは何ですか? 問題は授業の本体に英語をどこまで入れるかである。何のために英語を使うかによって。
・講習会でこんなことがあった。全部英語でしゃべったあと、司会が質疑応答を求めた後、「どうしたら英語が上達しますか」素人だったらともかく、こんな質問は。教師やめて、旅行業に替えたらどうか。トランプ氏、ネガティブ発言多くて、しかもそれが功を奏していますね。JFKの名言(Do not ask what America will do for you; ask what you can do for America…)をどのように生徒に説明するでしょうか? 後半のyouをもっと強めたほうがいいね。途中でCDを聞かせる。それで終わる場合が多いのではないか。ビジネスマンの集まりでJFKの言葉をもじって、「文科省が英語教育に何をするのかでなく、英語教師が生徒たちに何をしてやれるのか」と言った人がいたが、すぐ現場の教師と分かった。 CNNのキャスター、皆政治に関しては専門家。大統領選に関して どういう文脈でその言葉が出ているかを考えないと、妙な言い方になる。
・ We are running out of our time. はただ「時間が無くなってきたので」なので強く言う必要は全くない。音声はコンテクストがあるから、7つのポイント(どういう人間が/誰に向かって/いつ/どこから/何をする/もともとはどういう意味を持った(内容)/どういう風に組み立てて)を発掘することがとても重要。
・「英文解釈contextの中でしか音声は扱わないほうがいい」音声だけの授業は意味がない。Oral interpretation(批判的味読)interpretative reading「意味は言葉の中には本来内在していない」意味は語り手が与えるものである。動詞の数ぐらいコミュニケーションの目的はある。教科書の英文は説明ばかり。どういう教材を取りそろえるかというあたりで、圧倒的にinformativeである。クリントンスピーチ:謝罪でなく、弁明。キング牧師:目的は士気を高める。音声とはいかに意味とがんじがらめになっているかを知るべき。解釈と音声をドッキングさせた授業法を実演・・・
・ The first few times that you read this selection, you will probably sound as though you are reading it.「あたかも」as thoughを強めて言う。
・ なんでもサマライズしよう、言い換えようとするのが、今の英語教育の悪影響。なんでも裏の意味を考える、探る。むしろ長くインタープリットするのがいい。
・ 同じ言い回しでも、違う場面で言っていることを想定していう。生徒を前に出して、このテキストを、会話を通して、言い換えでやっていく。スポーツ選手が… 歌うことで…
・ Inputをどのように確保するか 入金していないのに金を出せるわけがない。生徒のintputが少ない スピーチというとpublic addressをイメージすることが多いが、スピーチの本質は モード転換を大事にして 歌などもメロディをはずしてスピークする練習もいい。ここまでで、
1 多聴からの無意識的言語入力、同時に数種類つけっぱなしでも、別々に聞こえるようになる。時々、止めて自分で言ってみるのもいい。
2 口真似による入力 
3 多読からの無意識的入力 いつのまにか自分がその言葉をしゃべっているのに気づく。教科書はつまらないものが多いが、とにかく身につけるまで声に出していうのがよい。仮想のスピーチ 例えば「大統領になろうとしている人がするスピーチ」「トランプに異を唱える人のスピーチ」も大事。出来上がっている英文を解釈しながらスピークすることも大事。


3. 質疑応答
・質問:要約がダメと先ほど言われましたが…
近江:精読することが、すなわち訳読ではないかと、私はそういう観点で見ている。
・ 「日本には精読がなかった」と考えている。要約もいいが、「裏の気持ちまで想像して、言ってみる」キング牧師のスピーチも、かなり固まっているようだが、言っていない部分がある。
・ OCだけに押し込めて、スピーキングとリスニングから抜かしたので、OCは失敗した。『英語教育への遺言状』死を背にしないで、どうして
・ 中学の教科書の不思議第2段階モード転換学習の例1
・弁明スピーチ アポロギアは弁明の華である。
・質問:中学3年でスピーチをさせるが、今までは原稿を書かせ、暗記してきてというパターンが多かった。もっと気持ちを込めて言ってほしいと思うのだが…
近江:中学でスピーチ難しいのでは。インプットをもっと多くしたり、会話より、むしろモノローグのオーソドックスの長い文章の中に言わせてみたいものがある。
・近江:(質問に)東後勝明さんのNHK「英語会話」の講座は会話だけで、限界がある。前任者の松本亨さんは違っていた。


<参加者の感想>
• 仮定法過去完了の例文について、このように言葉が発せられたコンテクストがはっきりしている例文だとその文で使われている文法項目がしっかり身につく気がします。普段使っている文法書の例文はいかに断片的でコンテクストが与えられておらず、よって内容が瞬時にはわかりにくく文法が身につきにくいかがわかりました。
• Oral interpretationの意味が良くわかりました。日本の英語教育の欠陥がまた1つ見えてきて面白かったです。
• とてもおもしろく講演を聞かせていただきました。音読が文の解釈を示す方法になるのだということは大きな発見と「なりました。文法などももっと楽しく勉強することができそうです。ありがとうございました。
• 英文を読むのに、語り手、聞き手を意識して読むことが、読みと解釈が一緒になることができるということが大切であることを学びました。とても有難うございました。これからの指導に活かしていきたいと思います。
• 英語という言葉も、文法も、伝えたい事実、心があるからできたのだということを感じました。生きた学習にしていくためにも、Oral Interpretationを意識して自分も学習し、授業にも使ってみようと思います。Input→Outputへつなげられるよう意識します。遠くから来て良かったです。ありがとうございました!
• とてもとてもとてもとても参考になりました。今朝、ちょうど教科書の本文をスピーチ風に読ませようとプリントを作っていたので、ベストタイミングでした。あと、先生を見ていて、教員に演技力って本当に必要だなと思いました。
• 近江先生のお話をとても楽しくエンカレッジングな気持ちで聞かせていただきました。文法=音声=コミュニケーション 大変興味深いお話をそしてワークショップをありがとうございました。
• 一見、無味乾燥な文にしか見えなかった教科書の本文が近江先生の手にかかれば、正に息を吹きかけられたように、輝きを持った文に蘇ってしまうのはまるで魔法ですね。つまり、同じ教材を扱っていても、扱う人の腕しだいで変わるということになりということですね。生かすも殺すも教師の力量次第!ということを実感し、こちらの感性を磨く必要があると痛感しました。近江ワールドを体感できて楽しかったです。
• 個性的なご講演、楽しめました。レベルが高くて深く、なかなか授業に活かすのは難しいかな。明日の授業にすぐ役立つということはないけれど、きっとそこに意味があるのだと思います。会話ではなく、モノローグをという点、分かりました。
• 話し手、誰に向かって話をしてなのか。場面設定、目的などを明確にして英文を伝達するというスピーチの仕方はとても参考になりました。英文を意味のあるものにするための方法として有意義であると改めて思いました。ありがとうございました。
• 意味と音とことばに無自覚ではいけないと思いました。先生の芸達者ぶりに心打たれました。ありがとうございました。
• Eye Openingでした。身体を含めたインプットの数々、すばらしかったです。
• 日本人の英語の問題点や実際に中学校で授業として扱うにはどうすれば良いか考えることができました。まずは私が実践してから多人数の生徒を相手にできるか、取り組んでいきたいです。ありがとうございました。
• 自分の行っていた精読の浅さを反省しました。今日のレクチャーを生徒に還元したいと思います。


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